古事記5番目 天之常立神(あめのとこたちのかみ)

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天之常立神(あめのとこたちのかみ)

 天之常立神(あめのとこたちのかみ)は、日本神話において非常に重要な位置を占める神様です。この神様は、天地創造の際に現れた別天津神(ことあまつかみ)の一柱として知られています。

 『古事記』では「天之常立神」、『日本書紀』では「天常立尊」と表記されており、その他にも「天壁立神」や「天底立神」などの異称があります。名前の意味は「天の永久性を象徴する神」とされ、宇宙の安定性や永続性を表す存在として解釈されています。

 天之常立神は、天地開闢の物語において、最後に現れた神とされています。興味深いことに、この神は独神(ひとりがみ)とされ、性別を持たない存在として描かれています。ただし、『日本書紀』の一部の記述では「純男」、つまり陽の気のみを受けて生まれた純粋な男性神としても描かれており、その性質には多少の解釈の余地があります。

 この神の特徴的な点は、現れた直後にすぐに姿を隠したとされていることです。これは、天之常立神が具体的な姿や形を持たない、抽象的な概念や原理を表す神であることを示唆しているかもしれません。

 天之常立神は、国之常立神(くにのとこたちのかみ)と密接な関係にあると考えられています。国之常立神が地上の永続性を象徴するのに対し、天之常立神は天空の永続性を象徴すると解釈されることがあります。この二柱の神は、天地の調和や安定を表す対概念として捉えられることもあります。

 神道の歴史において、天之常立神の位置づけは時代とともに変化してきました。特に中世以降の神道思想の発展に伴い、この神はより重要な位置を占めるようになりました。例えば、伊勢神道では天之御中主神、豊受大神とともに根源神の一柱とされ、吉田神道では天之御中主神と同一視されるなど、宇宙の根源を表す神として崇められるようになりました。

 天之常立神の存在は、古代日本人の宇宙観や自然観を反映しており、天地創造の神話から現代の神社信仰に至るまで、日本の精神文化に深い影響を与え続けています。この神を通じて、私たちは日本の伝統的な世界観や、自然と人間の調和の重要性を再認識することができるでしょう。

天之常立神様をお祀りしている神社

高御産巣日神を主祭神として祀っている神社は全国に存在します。代表的なものとしては以下があります。
・出雲大社(島根県出雲市)
・駒形神社(岩手県奥州市)
・金持神社(鳥取県日野郡日野町)

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