古事記8番目 宇比地邇神(うひぢにのかみ)

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宇比地邇神(うひぢにのかみ)

 宇比地邇神(うひぢにのかみ)は、日本神話において非常に重要な位置を占める神様です。古事記では「宇比地邇神」、日本書紀では「埿土煮尊(ういじにのみこと)」と表記されています。この神様は、神世七代の第3代目の神として登場し、須比智邇神(すひちにのかみ)と対をなす男神として描かれています。

 宇比地邇神の名前には深い意味が込められています。「宇比地」は「初泥」(ういひぢ)の音約であり、「邇」は親愛を表す接尾語と解釈されます。つまり、この神様の名前は「最初の泥土」という意味を持つと考えられています。これは、大地が形成される過程を表現しているとも言えるでしょう。

 神話的な観点から見ると、宇比地邇神は豊かな大地の始源を象徴する神様です。それまでの神々が独神であったのに対し、宇比地邇神と須比智邇神は初めて男女一対の神として登場します。これは、世界の創造過程において、より具体的な形態が生まれ始めたことを示唆しているとも解釈できます。

 宇比地邇神の神格は、泥土や大地と深く結びついています。水分を多く含んだ泥土は、植物の生長を保障する豊かな土地を意味しており、後の伊邪那岐命・伊邪那美命による「国生み」の前提となる豊かな大地の始源を表しています。このことから、宇比地邇神は農業や豊穣とも関連づけられる神様だと言えるでしょう。

 宇比地邇神の存在は、古代日本人の自然観や宇宙観を反映しており、天地創造の神話から現代の神社信仰に至るまで、日本の精神文化に深い影響を与え続けています。この神様を通じて、私たちは日本の伝統的な世界観や、自然と人間の調和の重要性を再認識することができるでしょう。また、宇比地邇神の信仰は、日本の農耕文化や土地に対する畏敬の念とも深く結びついており、日本人の精神性の一端を形作っているといえます。

宇比地邇神をお祀りしている神社

天之御中主神を主祭神として祀っている神社は全国に存在します。代表的なものとしては以下があります。
・熊野速玉大社(和歌山県新宮市)
・物部神社(島根県大田市)
・二荒山神社(栃木県宇都宮市)

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