古事記9番目 須比智邇神(すひちにのかみ)

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須比智邇神(すひちにのかみ)

 須比智邇神(すひちにのかみ)は、日本神話において非常に重要な位置を占める神様です。古事記では「須比智邇神」、日本書紀では「沙土煮尊」と表記され、神世七代の第3代目の神として登場します。この神様は、宇比地邇神(うひぢにのかみ)と対をなす女神として描かれており、日本神話において初めて登場する男女一対の神の一柱とされています。

 須比智邇神の名前には深い意味が込められています。「須」は砂を、「比智」は泥土を意味し、「邇」は親愛を表す接尾語と解釈されます。つまり、須比智邇神は「砂と泥土」を象徴する神様であり、大地の始源を表す存在として理解されています。

 この神様は、それまでの独神(ひとりがみ)とは異なり、宇比地邇神とともに男女一対の神として登場することで、世界の創造過程においてより具体的な形態が生まれ始めたことを示唆しています。須比智邇神は、水分を多く含んだ砂土を象徴し、植物の生長を保障する豊かな土地を意味しています。これは、後の伊邪那岐命・伊邪那美命による「国生み」の前提となる豊かな大地の始源を表しているとも言えるでしょう。

 須比智邇神の神格は、砂土や大地と深く結びついており、農業や豊穣とも関連づけられています。この神様は、国土安穏、五穀豊穣、生産増大、開運招福などのご利益をもたらすとされ、現代においても多くの人々から信仰を集めています。

 須比智邇神の存在は、古代日本人の自然観や宇宙観を反映しており、天地創造の神話から現代の神社信仰に至るまで、日本の精神文化に深い影響を与え続けています。この神様を通じて、私たちは日本の伝統的な世界観や、自然と人間の調和の重要性を再認識することができるでしょう。また、須比智邇神の信仰は、日本の農耕文化や土地に対する畏敬の念とも深く結びついており、日本人の精神性の一端を形作っているといえます。

須比智邇神様をお祀りしている神社

須比智邇神を祀っている神社は全国に存在します。代表的なものとしては以下があります。
・二荒山神社(栃木県宇都宮市)
・物部神社(島根県大田市)

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