古事記10番目 角杙神(つのぐひのかみ)

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角杙神(つのぐひのかみ)

 古代日本の神々の系譜を紐解くとき、私たちは角杙神(つのぐいのかみ)という神秘的な存在に出会います。神世七代の第4代に位置するこの神は、日本の創世神話において重要な役割を果たしています。

 角杙神の名前には深い意味が込められています。「角」は堅く突き出た様子を、「杙」は地面に打ち込まれた杭を表しています。この名前から、大地に生命が芽吹く瞬間を想像することができるでしょう。まるで固い大地を突き破って、新しい生命が力強く伸びていくかのようです。

 興味深いことに、角杙神は単独ではなく、活杙神(いくぐいのかみ)という女神とペアで登場します。この二柱の神の出現は、日本神話における重要な転換点を示しています。それまでの神々が性別を持たない独神(ひとりがみ)だったのに対し、角杙神と活杙神は初めて男女の区別を持つ神として描かれているのです。

 角杙神の役割は、単なる生命の誕生を超えて、より広い意味を持っています。地面に杭を打ち込むという行為は、古代日本において境界を定める重要な儀式でした。そのため、角杙神は土地の区画や領域の確定、さらには秩序の確立を象徴する神としても解釈されています。

 また、角杙神は農業の起源とも深く結びついています。固まりつつある泥土から生命が芽吹くという神話的表現は、古代の人々が観察した自然現象、特に種子が発芽し成長する過程を神格化したものと考えられます。

 角杙神の物語は、日本の神道における生命観や自然観を鮮やかに映し出しています。大地と生命の神秘的な結びつき、そして秩序ある世界の形成—これらの概念は、古代から現代に至るまで、日本人の精神性の根底に流れ続けているのです。角杙神を通じて、私たちは日本文化の奥深さと、自然との調和を重んじる日本人の世界観を垣間見ることができるのです。

角杙神様をお祀りしている神社

須比智邇神を祀っている神社は全国に存在します。
・恵比寿神社(東京都渋谷区)
・根小屋七代天神社(茨城県石岡市)

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