古事記11番目 活杙神(いくぐひのかみ)

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活杙神(いくぐひのかみ)

 活杙神(いくぐいのかみ)は、日本神話の黎明期に登場する神秘的な女神です。古事記によれば、神世七代の第四代目として、角杙神(つのぐいのかみ)とともに誕生したとされています。その名が示す通り、活杙神は生命力溢れる大地の象徴として崇められてきました。

 古代の日本人は、まだ形を成していない混沌とした世界から、徐々に秩序ある世界が生まれていく過程を、神々の誕生として表現しました。活杙神の登場は、まさにその転換点を示しています。「活」という字が示すように、この神は生命の躍動、成長の力を体現しているのです。

 活杙神の名前に含まれる「杙(くい)」は、地面に打ち込まれる杭を意味します。これは単なる物理的な杭ではなく、生命が大地に根付き、そこから力強く伸びていく様子を象徴しているのでしょう。泥土が徐々に固まり、そこから新しい生命が芽吹く。活杙神は、まさにその瞬間を神格化した存在なのです。

 興味深いのは、活杙神が角杙神と対をなす女神として描かれている点です。古代日本の世界観において、万物は陰と陽、男性と女性の調和によって成り立つと考えられていました。活杙神と角杙神のペアは、この世界観を反映しているのかもしれません。

 また、「活ぐむ」という言葉には「生育し始める」という意味があるとされます。つまり、活杙神は単に生命が誕生するだけでなく、その生命が成長し、繁栄していく過程をも司る神なのです。この神の存在は、古代日本人の自然観、生命観を鮮やかに映し出しています。

 活杙神の物語は、日本の神道における生命観や自然観を鮮やかに映し出しています。大地と生命の神秘的な結びつき、そして秩序ある世界の形成—これらの概念は、古代から現代に至るまで、日本人の精神性の根底に流れ続けているのです。活杙神を通じて、私たちは日本文化の奥深さと、自然との調和を重んじる日本人の世界観を垣間見ることができるのです。

活杙神様をお祀りしている神社

須比智邇神を祀っている神社は全国に存在します。
・十二社神社(埼玉県深谷市)
・第六天神社(東京都杉並区)

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