被官稲荷大明神 Hikan Inari Daimyojin Shrine 

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被官稲荷大明神 Hikan Inari Daimyojin Shrine

被官稲荷大明神正面

 被官稲荷大明神は、東京都江東区木場5-8-40に鎮座する小さな神社で由緒書や社務所はありません。この神社は、現在東京パークサイドビルの敷地内に位置しており、都市開発の中で守り継がれてきた歴史ある社です。

 主祭神は稲荷神として広く知られる宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)です。稲荷神は五穀豊穣や商売繁盛の神として古くから日本全国で崇敬されており、この被官稲荷大明神も地域の人々の信仰を集めてきました。

 「被官」という名称は、江戸時代の社会構造に由来する可能性があります。被官とは、武士に仕える下級の家臣を指す言葉で、この神社が庶民や下級武士たちの信仰の対象として親しまれてきたことを示唆しています。また官職をいただくということから出世や仕事運などを意味しているのかもしれません。神社の境内には、國枝捨次郎之碑が建立されています。この碑は、神社の歴史や地域との関わりを物語る史料の一つとなっています。

 被官稲荷大明神は、江東区の他の稲荷神社と同様に、地域の発展と共に歩んできました。江東区には多くの稲荷神社が点在しており、それぞれが独自の歴史と特徴を持っています。現代の都市環境の中で、被官稲荷大明神は静かにその姿を保ち続けています。オフィスビルの一角に鎮座するこの神社は、江戸から続く下町の歴史と、現代の都市開発が融合した江東区の特徴を象徴する存在といえるでしょう。

 参拝の際は、都会の喧騒の中に残る江戸の面影を感じることができるかもしれません。

御祭神 Enshrined deity

宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)

Ukanomitama-no-kami

宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)Ukanomitama-no-kami

宇迦之御魂神の名前には深い意味が込められています。「宇迦」(うか)は穀物や食物を意味し、「御」(み)は神秘や神聖さを表し、「魂」(たま)は霊を意味します。つまり、その名は「稲に宿る神秘な霊」と解釈することができます。

 『古事記』では、宇迦之御魂神は須佐之男命(すさのおのみこと)と神大市比売(かむおおいちひめ)の子として描かれています。一方、『日本書紀』では、イザナギとイザナミが飢えて気力がないときに生まれたとされています。

 宇迦之御魂神は、以下のような御利益を持つとされています。
 ・食物の神:穀物、特に稲を司る神として崇められています。
 ・豊穣の神:農業の豊かな実りをもたらす神として信仰されています。
 ・生命の根源:生命の源を司る神として、生殖や成長にも関わるとされています。
 ・商売繁盛:稲荷神としての側面から、商売の繁盛を願う人々からも信仰を集めています。

 宇迦之御魂神は、稲荷神として日本全国に広く信仰が広がっています。特に有名な神社としては、京都の伏見稲荷大社や茨城県の笠間稲荷神社などがあります。これらの神社では、宇迦之御魂神が主祭神として祀られ、毎年多くの参拝者が訪れています。

 宇迦之御魂神の使者として、狐(きつね)がよく知られています。これは、古代の山の神信仰と狐の行動パターンが結びついたものと考えられています。狐は神の意志を人々に伝える媒介者として、稲荷神社で重要な役割を果たしています。

 宇迦之御魂神は、日本の伝統的な信仰において中心的な位置を占め、今日でも多くの人々の生活や文化に深く根ざした神格として崇拝され続けています。 

被官稲荷大明神への道案内 Directions to Hikan Inari Daimyojin Shrine

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