古事記4番目 宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)

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宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)

 宇摩志阿斯訶備比古遅神は、日本神話において非常に重要な位置を占める神様です。天地開闢(てんちかいびゃく)の際に登場する別天津神(ことあまつかみ)の一柱として知られています。『古事記』では「宇摩志阿斯訶備比古遅神」、『日本書紀』では「可美葦芽彦舅尊(うましあしかびひこじのみこと)」と表記されています。

 宇摩志阿斯訶備比古遅神の名前には深い意味が込められています。
 ・「ウマシ」:立派な、素晴らしいという褒め言葉
 ・「アシカビ」:葦の芽、葦が芽吹く様子を表す
 ・「ヒコヂ」:男性を表す敬称
 この名前から、「混沌(泥)から勢いよく成長する葦の芽のような素晴らしい男神」という意味が読み取れます。

 宇摩志阿斯訶備比古遅神は、天地開闢の物語において重要な役割を果たしています。『古事記』では、造化三神(ぞうかのさんしん)が現れた後、4番目に誕生した神とされており、『日本書紀』の一書では、最初に現れた神、または2番目に現れた神として描かれています。この神は、まだ地上世界が水に浮かぶ脂のようで、クラゲのように混沌と漂っていたときに、葦の芽が勢いよく伸びるように生まれたとされています。

 宇摩志阿斯訶備比古遅神は、以下のような神格や象徴性を持つとされています。葦の芽のように力強く成長する様子から、生命力や活力を神格化した神とされています。また、まだ安定していない国(大地)の生成力を表す神とも考えられています。農業との関連としては、葦が生える湿地は栄養が豊富で、古くから稲作に適した土地とされていました。このことから、間接的に農業の豊穣とも結びついています。

 宇摩志阿斯訶備比古遅神は、独神(ひとりがみ)とされ、登場後すぐに身を隠したとされています。そのため、この神は天地開闢の物語以降、日本神話には登場しません。

 宇摩志阿斯訶備比古遅神は、日本の神話において天地創造の初期段階に登場する重要な神様です。その名前と誕生の描写から、生命力や国土の生成力を象徴する神として理解されています。現代においても、様々な神社で祀られ、生命力や活力をもたらす神として信仰が続いています。この神の存在は、古代日本人の自然観や生命観を反映しており、日本の神道文化の深い理解につながる重要な要素といえるでしょう。

宇摩志阿斯訶備比古遅神をお祀りしている神社

宇摩志阿斯訶備比古遅神をを主祭神として祀っている神社は全国に存在します。代表的なものとしては以下があります。
 ・出雲大社(島根県出雲市)の本殿御客座
 ・浮嶋神社(愛媛県東温市)
 ・高見神社(福岡県北九州市)

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